ARTIST - 2011年 -
Document

伊藤亜衣・沼澤菜美・吉岡梓

猪子大地

川﨑瑛弘・村川恵理・森野茉央

竹腰耕平

藤井暁

福島菜摘

岡田吉弘・岸本洋平・中嶋祐輔・濱上翼
model : Ai Ito & Nami Numazawa
photo : Azusa Yoshioka
design : Tomomi Miyamae
枯木又プロジェクト 2011 夏
慌ただしい時間や、情報社会から一歩抜けだした場所、そこが私にとっての枯木又です。新潟県十日町市枯木又地区。市中心部から約20kmの人里離れた小さな集落にある旧枯木又分校、ここにはいつもと違うゆったりとした時間が流れます。「京都精華大学 枯木又プロジェクト」は旧枯木又分校を舞台に京都精華大学の有志が継続的に芸術活動を続けていくプロジェクトです。今年の夏は「越後妻有 大地の祭り 2011 夏」と連動して滞在制作と展示を実施します。
枯木又プロジェクトは、2009年の大地の芸術祭・越後妻有アートトリエンナーレの「廃校プロジェクト」を契機として開始されました。使われなくなった学校施設の活用を主眼とするものですが、その背景には、この場所固有の文脈が見えてきます。豪雪地帯であり、「昔は陸の孤島だった」と言われるほど、冬場の交通が困難だったことから山間部に建てられた分校。同時に、豪雪地帯に存在するがゆえに、使われなくなった建造物は雪による倒壊の危険性を有することから、廃校プロジェクトは、この土地の地域性と切り離せないものなのです。
場所を問わず、日本の近代化において、小学校とは子供たちのためだけの施設にとどまらず、地域全体の中心的な存在として位置づけられてきました。つまり、小学校とは地域の記憶を総体的に保有するものということができます。小さな木造校舎と校庭が廃校となった今もなお大切にされているのは、それが地域のアイデンティティを表象する存在であるからに他なりません。来訪者が、この場所に「地霊(genius loci)」を感じることができるとするならば、それは地域の人々の愛情がこの小学校に刻み込まれてきたからなのでしょう。
こうした場所に、異なる背景を持って育った美術大学の学生たちが滞在して芸術活動を行うこと。そこで生まれる交流は、他者を理解すると同時に、自分自身を理解することを導き出してくるはずです。継続的な活動である枯木又プロジェクトでは、夏の長期滞在だけではなく、春の雪解け、秋の収穫、冬の豪雪と、この土地の様々な気候・風土・文化に接することを大切にしています。何故なら、美術やデザインの領域に留まらない、こうした様々な経験の蓄積がアートプロジェクトを豊かにしていくと考えるからです
旧枯木又分校。森に抱かれた、かつての小さな小学校には、ゆっくりとした時間が流れています。この夏は、ぜひ私たちと枯木又で素敵なひとときを過ごしませんか。
text : Keiko Kanematsu
