大学一年生の選択としては、ちょっとマニアックな選択である。この絵は、"The Repentant St Mary Magdalene", 1647-21,Galleria Doria-Pamphili (Rome) 、日本語にすると「改悛のマグダラのマリア」という。
画家のFetiは、17世紀のイタリア、バロックの時代の人で、34才という短い人生であったため、作品数は多くない。しかし、重要な画家に位置づけられている。
絵の主人公は、マグダラのマリアである。そして、左手に抱えているのはドクロである。ドクロは、マグダラを示すマリアを示すアトリビュートである。
マグダラのマリアは新約聖書のなかで、謎多い登場人物である。売春婦でリンチにあって殺されそうになっているところに、イエスが来て彼女を救い、これをきっかけにイエスに従った人物というのがよく知られている物語である。そして、イエスの弟子たる12使徒が全員男性のなかで、唯一マグダラのマリアだけが名前を記されている女性である。
映画「ダ・ビンチ・コード」では、マグダラのマリアが実はイエスの妻であったという、珍説のオチがついているくらい、いろいろな尾ひれがついている。
なりすましの写真だが、まじめな洋画の学生らしく、実に原画に近い出来になっている。写真と絵画がほとんど一致する点から見ても、Fetiのデッサンは普通に正確にできているといえる。
ただ、どうだろうか。
私にはおもしろみが欠けるように思える。
まじめにその通りなのだが、この学生も、Fetiもまじめにその通りに世界を写し取っている。これまで、いくつかの普通に見えて実は普通でない絵画を見てきた。絵画が写真とは別のおもしろさを持っているのはそんな部分にあるのかもしれない。もちろん、この絵が描かれたのは17世紀である。絵画は写真の代わりであった。
時代が違うのである。